セックスレスだけど、夫婦仲は良い。
そんな私たちの関係に、どこか安心しながらも、ずっと言葉にできないモヤモヤを抱えていました。
けれどある日、見てしまった夫のスマホの中身に、私の心は崩れ落ちました。
私が本当に傷ついたのは、“女性とのつながり”ではなく、“私の存在”を否定されたような感覚でした。
この出来事をきっかけに、私は「性の不一致」について、改めて向き合うことになりました。
目次
夫は「セックスがすべてじゃない」と言った──でも私には、埋まらない距離があった
彼はある日、私に言いました。
私は、何も言い返せませんでした。
私たちは仲が良い夫婦だと、周りから羨ましがられます。
でも、「セックスがないこと」が、私にとってどれだけの違和感だったか、うまく伝えられられませんでした。
スマホを見た瞬間、私は“何か”が終わった気がした
違和感を感じる日々が続き、ある日、何気なく手に取った夫のスマホーこの日に私は崩れ落ちました。
パスコードは知っていたけれど、開いたのは初めてでした。
見たくて開いたわけじゃないんです。
でも─
「なにか」がある気がして、止められない自分がいました。
そしてそこには、私が知らない「彼」がいたのです。
目に入ったのはLINEをはじめとするSNSでの女性とのやり取り…
名前も知らない女性との、性的なメッセージ。
スクロールする指先が震えました。
でも目は、止められませんでした。
あの瞬間の記憶は、今でも映像よりも鮮明に残っています。
空気が凍り、心臓がひとつ跳ねて、止まった様な感覚でした。
何を見て、何を読んだか、全部覚えています。
でも、その直後、自分がどんな表情をしていたかは覚えていません。
怒りじゃなかった。
悲しみでもなかった。
ただ「あ、終わった」と思いました。
なにが終わったのかはわからない。
でも、「もう前と同じではいられない」とはっきり思いました。
「誰にも言えなかった」──声に出すことが、いちばん怖かった
彼に何を言ったらいいか、何を聞けばいいのか、全くわかりませんでした。
泣くのも、怒るのも、問い詰めるのも、全部ちがう気がしたんです。
ただ、体が重たくて、頭の中がぼんやりして…「これは、誰にも言えない」とだけ思いました。
「浮気されちゃってさ」なんて、軽く話せることじゃなかったんです。
だって、世間でこれは浮気とみなされないから。
「SNSで性的なやり取りされてた」なんて、リアルすぎて言えませんでした。
しかも、周りから羨ましがられるほど仲が良いと普段から思われていたから、なおさら。
周りの人に言えば、きっと「そんなの、気にしすぎじゃない?」「会ってないんでしょ?」と言われる気がしました。
逆に「そんなの離婚案件じゃん」って言われるのも怖かったです。
私は、ただ心の中にモヤモヤを詰め込んで彼に「どういうこと…?」と聞きました。
何を聞きたいのかもわからないまま、ただただ事実と向き合うだけの時間が始まったのです。
私は今でも、フラッシュバックが時々あります。
一緒にいる時間、隣で笑っていたはずの彼が別の女性とやり取りしていたという事実が頭の中をぐるぐると回り続けています。
どこにも出せない感情って、こんなにも人を苦しくするんだと知りました。
「浮気じゃない」と繰り返されても、心の中の裏切りは消えなかった
「どういうこと…?」と聞くと、彼は開き直るわけでもなく、ずっと謝り続けました。
「悪いと思ってたけど、止められなかった。」
「会うのはダメだと思って、SNSだけにした。」
「バレてもいいと思ってたわけじゃないけど、本気で隠そうとは思えていなかったかもしれない。」
「やり取りの“設定”を楽しんでただけ。心は入ってなかった。」
でも、私が悲しかったのは女性とのえっちなやり取りではないんです。
そのやり取りをしていた時間、私は彼の隣にて一緒にごはんを食べて、一緒にテレビを見て、笑っていたんです。
私と一緒に過ごしていた“その時間”に別の誰かと繋がっていたことが、一番私の心を壊しました。
検索しても、出てくるのは正論だけ──私は“感情の答え”が欲しかった

気持ちをどう処理していいかわからなくて、私は「不貞行為 定義」「SNS 浮気」などを検索しました。
けれど出てくるのは「肉体関係がない場合は不貞行為にならない」という法律の話ばかりです。
私は「世の中的な正しさ」が欲しかったわけではないんです。
私が知りたかったのは、「これは、裏切りだったと感じていいことなのか?」ということです。
自分の“感じている気持ち”に名前をつけたくて、「苦しかったね」って言ってほしかったんです。
「性の不一致」は、誰かにとっては“ただの違和感”じゃない
「セックスレスだけど仲良しな夫婦」は確かにいると思います。
「性に対する価値観が違っても平気な人」もたくさんいます。
でも─
私にとっては“違い”が“心の距離”でした。心のすれ違いで傷がつきました。
「わかってほしい」と思うことすら、自分勝手なのかなと何度も悩みました。
だけど、
「私はつらかった」
「私は、裏切られたと感じた」
その気持ちを否定しないことが、今の私にできるたったひとつの“理解”なのかもしれないと思っています。
「正解」なんてなくていい。ただ、「私はつらかった」と言っていい
私は、法律でも医学でもなく、自分の「心の痛み」に向き合いたかった。
もしあなたが今、
「これって私が悪いのかな?」
「誰にも言えないけど、苦しい」
そんな気持ちを抱えているなら、ここに置いていってほしいです。
「浮気じゃない」と言われたって「肉体関係をもっていないからOK」だと言われたって、あなたが傷ついて辛いなら、それが答えです。
── この記事が、そんなあなたに寄り添えますように。